北欧で暮らす人たちは、家の中の空間づくりにこだわることで有名です。しかし、それは何も特別なものではなく、私たちもポイントさえわかればすぐに真似できることが多くあります。
「日常に少し北欧のエッセンスを加えてみたい」と考える人、または「家の中をもっとくつろげるスペースにしたい」と考えている人に向けて、今回は「北欧流のくつろぎ空間の作り方」をご紹介します。
欧米諸国では、家族が交流できるスペースを持ちつつ、それぞれのパーソナルな時間も尊重した家づくりが当たり前に行われています。ここでは海外のくつろぎスペースの事例について、日本の住宅にもエッセンスを取り入れやすいものに絞ってご紹介します。
英語のCozy Cornerは「心地良い場所」という意味で、自分のための時間を存分に楽しめる空間を指して使われます。Cozy Cornerの特徴は、ほんの小さなスペースでOKだということ。椅子、サイドテーブル、照明がそれぞれ一つずつあるだけでも、立派なCozy Cornerの出来上がりです。お好みに合わせて音楽が聴けるスピーカーを置いたり、足元にラグを敷いたりすれば自分だけのくつろぎ空間が演出できます。
スコットランド語のNeuk(ヌック)が語源と言われ、英語ではNookと表現されます。他の部屋と完全には区切らないものの、パーソナルな場所が確保できるスペースです。広さは3畳ほどで、段差や床の素材の違いなどでゆるやかにエリアを区別します。リビングなどの家族が集う場所に面しているのも特徴の一つで、家族とのつながりを感じながら、昼寝をしたり読書をしたりと思い思いに過ごすことができます。
英語のDenは、「洞穴」「隠れ家」という意味の言葉です。日本の住宅の間取り図にも「DEN」と表記される場合があるため、見たことがある方もいるかもしれません。居住空間の基準に満たない小さめの部屋ですが、趣味などで自由に使えるスペースを指すことが多いようです。書斎やワークスペースとして、またハンドメイドやコレクションルーム、楽器を練習する部屋としてなど、住む人の好みに合わせて使い方は無限の可能性を持っています。
スウェーデン語のMys(ミース)は、「落ち着ける空間」を指す言葉です。デンマーク語のHygge(ヒュッゲ)と似た概念ですが、ヒュッゲは誰かと一緒に居心地の良い時間を過ごすことを意味するのに対して、ミースはもう少し空間を整えることに寄った表現です。キャンドルや自然光・木のぬくもり・シンプルな色などを使った落ち着いたスペースが特徴で、スウェーデンの人は広さに関係なく心地が良ければ「ミーシグだね」と言うこともあります。
「心地の良い空間を作るためには、やっぱりお金がかかるのでは?」と思う人も多いでしょう。しかし、北欧の人は無理をして高級な家具を買い揃えることはないのです。なぜなら、誰かと比べるのではなく「自分が心地良いと思えれば、それが一番いい」と考えているからです。
スウェーデンの人たちは「ラーゴム」という言葉をよく使います。日本語では「ちょうどいい」とか「少なすぎず多すぎない」という意味が最も近い表現です。お金をかけなくても身の回りを快適にする方法はいくらでもあります。
自分だけのスペースで本を読みたい人なら、手元を明るくするための照明が必要です。一方で、音楽鑑賞をするなら照明はキャンドルにして、音響設備にこだわった方が楽しめますよね。くつろぎスペースを作りたいと思ったら、まずは「そこで自分はどんな風に過ごしたいのか?」「最もこだわりたいことは何か?」を考えてみるといいかもしれません。
情報があふれて日々せわしない中で、自分らしくゆったりと過ごす時間を意識して持つことはとても大事です。そんなときに今回紹介したくつろぎスペースの例は、きっと何かヒントを与えてくれるでしょう。
パーソナルスペースが欲しい、自宅をもっとくつろげる空間にしたい方は、まず身近な部分から少しだけ変化させてみてください。日常に小さな幸せを感じる瞬間が増えると、毎日を充実して過ごせるはずです。